この記事でわかること!!

  • 兄弟共に不登校になった時の対応法がわかります。
  • 兄と弟それぞれに効果的な関わり方がわかるようになります
  • 親として冷静に対応することができるコツが書かれています。
 
質問者

最近、弟まで学校に行かなくなっちゃって
お兄ちゃんの真似をしているのかな・・・

田中
真似って言いますと?
質問者

「なんでお兄ちゃんだけ学校に行かないの?
ずるい!!僕も休むって」

 
田中
よくあるパターンですね。
 
質問者

やっぱし、弟には行くように厳しく言った方がいいのかしら?
なんだかお兄ちゃんがうらやましくて行かなくなっている気がして。

田中
ちょっと待ってくださいね。
弟君がなぜそう思ったのか、
そこを考えないで対応すると大変なことになります。
質問者
え?どういうこと?
 
田中
今から詳しくお話させていただきますね。
 
 

※下の記事は「兄」「弟」で書いていますが、
「姉」や「妹」で置き換えて読んで頂いても大丈夫です。

動画でもお話ししています

兄弟で不登校になるパターンは結構多い

兄が不登校になって、弟が不登校になる。
これは決して珍しいパターンではありません。

結構、頻繁に起こるケースです。

ちなみに、私のカウンセリングでは
「兄弟みんな不登校」という相談が一番多いです。

中にはカウンセリングをしていて、
「先生、実は弟も不登校になりました」と
相談されることも珍しくありません。

と、聴いてどう思うでしょう?

「田中は弟の不登校も防げないなんてそれでも専門家か?」
と思う方もおられると思います。

それについては少し反論をさせてください。

そういう考えを持たれる背景には、
「子どもは学校に行くのが当然」
という認識があるためだと思います。

だからこそ、兄弟が不登校になった時、
「え?この家は大丈夫か?」と思われてしまいがちです。

しかし、そういう考えで子どもの支援を考えると、
不登校は悪化します。

 

兄が不登校になったからが原因ではない

兄が不登校になったからといって、
弟が不登校になるわけではありません。

事実、その子以外の兄弟は全員学校に行っている家庭もたくさんあります。

次のようなケースがあります。

以前、お兄ちゃんが不登校になって、
弟君が「お兄ちゃんが学校に行かないんだったら僕も行かない」
と言ったことがありました。

その時、お母さんは
「あなたは学校に行くのと、家にずっといるのとどっちが楽しい?」
と聞きました。

弟君は少し悩んで「やっぱし学校の方が楽しい」と言って、
そこからは中学校まで元気に登校し、高校も行っています。

このケースを見ると、
お兄ちゃんの真似をして弟も不登校になるとは
どうしても思えないのです。

もし、「兄の模倣で弟も不登校になる」
という図式が正しいとすれば、
不登校の子の兄弟すべてが
学校に行けなくなってしまう
ということになります。

でも、実際はそうではないですよね。

確かに、兄弟みんな不登校という家庭もありますが、
その子以外は全員学校に行っている家庭もたくさんあります。

となると、問題は別のところにあると
考えた方が良いと思うのです。

学校に行けなくなる子は不登校の素質を持っている

学校に行けなくなる子は不登校になる素質を持っています。

素質については以下のブログをクリック♪

この素質というのは

子ども自身の個性です。

不登校になる子は枠にとらわれない
個性というか才能を持っています。

ただ、それが学校の中で生かしきれない。

それが学校の中で息苦しさを感じてしまいます。

この部分を理解することが大切です。

この部分が見えてくると、今度は
「この子が社会で幸せに生きるためにはどうしたらいいか?」
が見えてくるようになります。

「お兄ちゃんだけずるい!」という弟の心理とは?

では、そうした視点で見たときに、
「お兄ちゃんだけずるい」と言ってしまう弟
の心理をまずは考えてみましょう。

極端な話、もし学校が楽しいのであれば、
弟君はそんなことを言うことはありません。

例えば、お兄ちゃんがステーキを食べていて、
弟君はお肉が嫌いだったとします。
むしろ野菜が好きで、
サラダを食べるのが大好きだったとします。

お兄ちゃんずるい!!とは言わないでしょう。

「ずるい」というのは、
相手がうらやましいから起こるものです。

逆に言えば、
弟君には「お兄ちゃんが学校に行かない」のが
うらやましくなる素質があるということ。

つまり、学校が辛いと感じる何かがあるということです。

この辺りをしっかりと考えて行くことが大切です。

カウンセリングで話を聴き続けていると、
「弟も学校に苦痛を感じやすいタイプだった」
ということも少なくはありません。

弟自身が、不登校になる才能を持っていたということです。

単なる模倣で不登校は起こらない

誰かが不登校になって、
それを真似して不登校になる・・・
なんてことはありません。

まあ、あるかもしれませんが、
そうしたケースは少ないと私は感じています。

こうした考えが出てくる背景には、
バンデューラという心理学者が提唱した
「モデリング理論」というのがあります。

簡単に言えば、
「人は周りの行動を取り入れて学習していく」という理論です。
模倣学習とも言います。

あながち間違ってはいませんが、
モデリングが成立するためには
「その人がその行動を良いと思うかどうか」
が深く関係しています。

要は「その行動って意味がないし、
自分がやっても損するだけだよね」
というのがあれば、模倣学習は起こりません。

人はそこまで愚かではないので、
なんでも鵜呑みに模倣するなんてことはないです。

となると、不登校を真似したくなる素因があるはずです。

その辺りを考えて行くことが、実はとても大切なことなのです。

同じ不登校でも兄弟で全く違う

兄弟が不登校になった場合、
お母さん方がやりがちな行動として、
「お兄ちゃんと同じように弟にも関わろうとする」
というところがあります。

そうなると次に出てくるのは
「なんかお兄ちゃんとは全然違う。
同じように関わろうとするとすごく反発して、
関わりにくくなった」というものです。

ここで大事な話をすると、
不登校の原因や才能は兄弟それぞれ持っているものの、
その中身や出方や全然違うということです。

そのため、同じように理解しようとすると、
どんどんとズレていきます。

弟も不登校になってしばらくして、
「あ、私、弟君のこと全然わかっていなかったんだ」
と気づかれたお母さんもいました。

そこから弟君を理解しようと再出発し、
「少しずつ弟君のことがわかってきた」
と話すお母さんもおられます。

お兄ちゃんと弟は全く別の人間です。

言われると当然なのですが、
一緒にいるとそういう感覚が
少なくなってしまうことはよくあります。

でも、それでいいと思います。

「あ、お兄ちゃんと弟って全く別だったんだ」

そこに気づくことで、
ようやく次の一歩が進めるようになるのです。

兄弟それぞれが進むべき道を応援する

私は理解に勝る支援はないと思っています。

不登校支援の極意は、
「子どもの思いをどう応援するか」ですが、
それは子どもをしっかりと理解するという過程が不可欠です。

話を聴くだけで進む子
このタイミングで強く行った方が進む子
背中を押した方が良い子

子どもの数だけ支援の方向性はたくさんあります。

でも、その根底にあるのは
「子どもを正しく理解する」ということです。

それができないと、子どもを適切に支援することはできません。

兄弟が不登校になった場合は、

  1. まずは兄弟それぞれの原因や才能を考えてみる
  2. そこから兄弟は別々の性格を持っているんだと捉えなおしてみる
  3. それぞれの思いを尊重し、その子に会った応援をしていく

このプロセスが実は大事なのです。

そこにお父さん、お母さんしかできない、大きな意味があるのです。

まとめ

では、この記事のまとめです。


  • 兄弟で不登校になった場合、弟自身が学校に行きづらい何かを持っている。
  • 兄の模倣で不登校になったというより、弟自身が不登校になる素因があったということ。
  • 兄、弟、それぞれ違う人間だと捉えて、それぞれ理解しなおすことが必要。
  • そこからそれぞれに合わせた「応援」を実行していくことが大切。

子どもが不登校になるということは、
その分、親として学ぶチャンスが増えたということ。

そして、子どもが自分らしく生きていくチャンスを
神様からもらったということです。

「ああ、弟も不登校になった」と思うのではなく、
「弟も自分らしい生き方を見直す時間をもらえた」
考えてみてくださいね。

 

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田中勝悟

田中勝悟

写真をクリックするとプロフィールへジャンプ

不登校専門心理カウンセラー
カウンセリングルームはぴっと室長
臨床心理士 公認心理師 選択理論心理士
「3つのステップ」によって親子が成長していくことで、不登校をプラスに乗り越えることをサポートする専門家。生まれつき性格という観点から、親が子どもの理解が深まることを主眼においてカウンセリングを実施している。

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