いつも読んでいただいてありがとうございます。

不登校解決カウンセラーの田中勝悟です。

私は10月になると、必ずある調査結果を見るようにしています。

それは、
「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
という調査結果です。

毎年、10月に去年の分の調査結果が公表されます。

調査結果の概要は↓ ↓ ↓ から

令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果

令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果概要  

合わせて動画もどうぞ

令和4年度の不登校の人数は29万人越え

で、今年の調査結果では次のように出ています。

● 小・中学校における長期欠席者のうち、不登校児童生徒数は299,048人(前年度244,940人)であり、
児童生徒1,000人当たりの不登校児童生徒数は31.7人(前年度25.7人)。
● 不登校児童生徒数は10年連続で増加し、過去最多となっている。

29万9千人の児童生徒が不登校としてカウントされているという結果が出ました。

毎年、過去最多を更新しているという状況です。

ちなみに、来年からは調査の仕方が見直されるので、
30日以上休んだ子を不登校とするという方式が変更される可能性はあります。

また、後述しますが、
文科省は不登校の児童生徒に直接アンケートを取ることで、

詳細に不登校の原因や対策を検討していく方針も示されています。

さて、こうした不登校の結果ですが、
皆さまはどう感じたでしょうか?

以下、私個人の見解をお話ししたいと思います。

不登校が増えている背景とは?

専門家として、会うたびにいろんな人から聞かれる質問です。

「なぜ、不登校は増えているんでしょうか?」

この質問は実は立場や考えによって、
いろんな答えが出てきます。

例えば、復学支援をしている人であれば、
「家庭教育に課題が出てきている」
「子どもたちが弱くなってきている」
「教室の質が落ちてきている」
という答えが出てくるかと思います。

フリースクールなどの支援者であれば、
「学校への合わなさが段々と顕著になってきている」
「学校システムだけですべての子を抱えるのが限界となってきている」
といった答え方をする方が多いです。

ちなみに、私の回答ですが、
「社会のシステムと学校システムの
ズレが大きくなっていること」

が大きな要因だと考えています。

不登校の原因は学校への合わなさ

そもそも、不登校の原因は「学校への合わなさ」です。

元来、不登校になる子は
創造性が豊かで、

個性が強い子が多いです。

だからこそ、はめ込み型の教育だけでは
その個性がつぶされてしまうため、
自分を守るために不登校を選択していると考えています。

もちろん、学校教育を否定するつもりはありません。

ただ、そのシステムに合わない子がいるということ、
そして社会の仕組みが変わるにつれて、
だんだんとズレが出ているとは日々感じています。

そして、不登校の子は感受性が強いため、
そうしたズレに非常に敏感なのです。

「無気力・不安」という項目の罠

さて、上述の調査結果では、「不登校の要因」の調査も出ています。

その中での上位は下記の通りです。

1位 無気力、不安 154,772人(51.8%)
2位 生活リズムの乱れ、あそび、非行 33,999人(11.4%)
3位 いじめを除く友人関係をめぐる問題 27,510人(9.2%)
4位 親子の関わり方 22,187人(7.4%)

この調査は学校側が回答したものなので、
適切な評価ができているのかという問題はありますが、
「無気力・不安」が過半数を示していることに驚きです。

ただ、この結果を見て、
「ああ、無気力や不安から不登校が起こるんだ」と
考えてしまうのは早計です。

私たちは何も原因なく、
無気力になったり、不安になってしまう
ことはありません。

そうならざるを得ない背景があったと思った方がいいでしょう。

 

私の臨床からの感覚で言えば、

学校に合わない、なんかズレるという感覚を持ちながら
登校し続けた結果、エネルギーが消耗してしまい、
無気力にならざるを得なくなったのではないかと考えています。

また、合わない中で頑張り続けると、脳が疲弊し、
些細なことに不安を感じやすくなったりもします。

ただ、こうした学校への合わなさという観点から
教職員が不登校の要因を推し量るのはかなり難しいです。

その一つは子ども自らが
「学校に合わないから行きたくない」なんて
言えるはずがないということです。

そんなことを言われたら、
「イヤでも合わせるべきだろう」と怒られるのは
目に見えています。

そうした雰囲気を敏感に感じやすいからこそ、
子どもたちの声が学校の先生には届かず、
先生もわからないから「無気力、不安」という回答を
出さざるを得ないのではないかと思います。

調査結果と実態のズレも起こっている

ちなみに、この調査結果では不登校の要因として、
「いじめ(0.2%)」「教職員との関係をめぐる問題(0.7%)」を挙げています。

これを見ると、いじめや学校の先生が要因とは到底思いにくいですが、
下記の資料では全く違った結果が出ています。

令和3年度、不登校児童生徒の実態把握に関する 調査報告書 – 文部科学省

この調査結果は小6(754名)と中2(1374名)の児童生徒に行ったもので、
母数や調査方法が違うので簡単に比較はできないのですが、

小学校では、

友達との関係(いやがらせやいじめがあった) 29.7%
先生との関係(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど) 41.8%

中学校では

友達との関係(いやがらせやいじめがあった) 30.9% 
先生との関係(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど) 31.7%

やく30倍ほどの開きが出ています。

これは教職員が見てきた、感じたことと、
不登校の子が実際に感じていることとの間に
大きな差が出ているということです。

諸課題に関する調査結果だけでは、
不登校の効果的な対策が不十分であるとして、
文科省は不登校の子に直接アンケートを取りながら、
実態を把握していく方針も出ているので、
今後の調査結果に期待したいところです。

学校復帰が正しいゴールなのか?

最後に、不登校解決のゴールについてお話したいと思います。

不登校の急増に加えて、
復学支援が再度注目されるようになりました。

私は復学支援は否定はしていませんし、
実際に学校に戻った方がいい子もいます。

ただ、不登校の本当の解決というのは、
学校復帰ではないはずです。

私は不登校のゴールというのは、
子どもが社会で幸せに生きていくということ
だと定義しています。

その中の手段の一つに学校が含まれているのであって、
「学校に戻った方がこの子は幸せだ」と思えたら
学校復帰を目指すのも大いにありです。

ただ、本来学校に合わない子を無理やり戻すのが
不登校の解決だというのであれば私は反対です。

不登校の子は「合う」「合わない」に非常に敏感です。

実際に早期に学校復帰をした結果、
自殺率が上がったというデータもあります。

なので、復学こそゴールだと思うのであれば、
私はストップをかけます。

 

私は、

子どもが幸せに生きていくために、
その子に合った生き方を見つけていく

というのが我々大人の使命であると考えます。

今後、国がそうした視点での
不登校支援を展開していけるように
切実に願っています。

 

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田中勝悟

田中勝悟

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不登校専門心理カウンセラー
カウンセリングルームはぴっと室長
臨床心理士 公認心理師 選択理論心理士
「3つのステップ」によって親子が成長していくことで、不登校をプラスに乗り越えることをサポートする専門家。生まれつき性格という観点から、親が子どもの理解が深まることを主眼においてカウンセリングを実施している。

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