「不登校は思いっきりさせた方がいい」
フリースクールやホームスクーリングの
専門家がこう話す場面はよくあります。
この言葉だけ切り取ると
「本当にそんなに休ませて大丈夫なの?」
と不安になりますよね。
でも、その背景には
“不登校が起こる理由”と深く関係する、
とても重要な意味があります。
今回は、不登校専門カウンセラーとしての立場から、
「なぜ思いきり休ませることが必要なのか」
「どこまで休ませてもいいのか」
「その後に何が起きるのか」
を整理してお伝えします。
目次
不登校は「甘え」ではなく、学校との相性によるエネルギー切れ
まず大前提ですが、不登校は甘えでもサボりでもありません。
もちろん、親の育て方や愛情不足が原因でもありません。
不登校の原因ははとてもシンプルです。
学校という環境が合わず、
ストレスで子どものエネルギーが枯れた結果、
動けなくなる。
ただそれだけのことです。
しかもこの「合わなさ」は、
生まれつきの気質、発達特性、
繊細さ、学校の文化、友人関係……
いろんな要素が絡んで起こります。
さらに、
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小さい頃から少しずつ合わなさが積み重なる子
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思春期に一気に噴き出す子
-
ある出来事がきっかけで崩れる子
本当にさまざまです。
なので、家庭教育で
“予防”できるものではありません。
実際カウンセリングでは、
「この子はいつか不登校になるだろうと思っていました」
という声を聞くことは珍しくありません。

不登校初期はエネルギーが枯渇している状態
学校に行けなくなった直後の子どもは、ほぼ例外なくエネルギーが枯れています。
だから、
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感情が不安定
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眠れない
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お風呂に入れない
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食べられない
-
朝起きられない
という状態が続きます。
これは「怠け」ではなく、
“心の筋肉痛”のようなもの。
身体が動かないのは当たり前の反応です。
初期〜中期でやるべきことは「思いきり休ませる」だけ
エネルギーがない状態で、
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デジタル制限
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生活指導
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しつけ直し
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無理な復学
-
外の支援につなぐ
こうしたことをすると、傷口に塩を塗るのと同じです。
一気に状態が悪化します。
なので、初期〜中期はたった一つ。
思いきり休ませる。
これだけが正解です。
エネルギーが少し貯まってきてから、復学支援などを“検討する”段階に入りますが、最初から使う必要はありません。
エネルギーが戻ると「子どもらしい回復の形」が始まる
休む期間が続くと、ある日から子どもは動き出します。
これは本人のペースで自然に始まります。
例えば、
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ずっとゲームやスマホをして過ごす子
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外でのつながりを求め始める子
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勉強に向かう子
この違いは全て “気質の違い” です。
お母さんタイプの子は外に出てつながりを求めやすいし、
末っ子タイプは自分の世界をコツコツ広げる傾向があります。
ここに「キャラ診断」でいう成長方向を重ねると、子どもの動き方が驚くほど理解しやすくなります。
本当に大切なのは「自分を取り戻すこと」
この回復期で起きる一番大きな変化は、
子どもが“自分を取り戻していく”こと。
ここができていないまま、
親の不安から復学やフリースクールにつなげてしまうと危険です。
サナギの殻を無理にこじ開けるようなものです。
未成熟のまま羽化すると、
蝶なら羽がボロボロ、
カブトムシなら角が折れ曲がってしまうでしょう。
社会に出る力が育ちきらないまま外に出されてしまう。
だからこそ、サナギの時間はじっくり必要なのです。

親が知識を持つと、子どもは安全に回復できる
ではどうすれば「安全にサナギ期を見守れるのか」。
答えはとてもシンプルです。
親が“不登校の知識”を持つこと。
子どもの気質を理解すること。
昆虫の生態を知らないとサナギを触ってしまうように、
不登校の理解がないと、つい余計な介入をしてしまうからです。
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不登校の仕組み
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気質による回復の違い
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キャラ診断で見える成長方向
こうした知識があるだけで、親は驚くほど冷静に見守れるようになります。
最近もあるお母さんから、
「中学時代はまったく動かなかった子が、高校では元気に過ごしています」
という報告をいただきました。
こうした回復例は珍しくありません。
むしろ自然な流れです。
まとめ
不登校は「思いっきりさせる」が正解。
ただし、放任ではなく、理解に基づく見守りが大切。
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不登校は甘えではない
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学校のストレスと相性の問題
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初期は“徹底して休ませる”ことが唯一の正解
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エネルギーが戻ると、気質に合わせて動き始める
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自分を取り戻す時間が未来の土台になる
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親が知識を持つことで安全に見守れる
あなたのお子さんにも、必ず回復のタイミングが訪れます。
その日が来るまで、焦らず、ゆっくり、見守ってください。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。



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