不登校になると、
「常識が身についていないのでは?」
「社会性が育たないのでは?」
そんな不安を抱える保護者の方がとても多いです。
しかし、長年不登校支援に関わってきた研究者たちは、
「不登校だから社会性が育たなかった」という見方は大きな誤解です。
この記事では、
メルマガでも反響の大きかった「心の傷」と「生きる力」の話を、
支援者と保護者の方に向けて整理してお伝えしていきます。
目次
不登校は「常識がない」から起きるのではありません
私は現在、生活保護・貧困層の就労支援をしています。
その中には、元不登校の若者も多く含まれています。
そして彼らと接していると、
就労支援がスムーズにいかないケースがとても多いのです。
たとえば、
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ドタキャンしてしまう
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連絡ができず、沈黙してしまう
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面談に来れなくなる
その様子だけを見ると、
「社会性が育っていないからだ」
「常識がないからだ」
と周囲は判断しがちです。
しかし、これは本質ではありません。

本質は「心の傷つき」──自分という土台が崩れている状態
先日の「登校拒否・不登校問題 in 兵庫のつどい」で、
神戸大学名誉教授・広木克行先生はこう語られました。
広木先生の本はこちら(衝動買いしてしまいました)
「不登校の子どもたちの心の傷つきが癒えないと、本当の解決にはならない」
実際、不登校になった時点で、
子どもたちのメンタルは限界に近い状態になっています。
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自分らしく生きる感覚を見失っている
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何に向かえばいいのかわからない
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生きるための土台が崩れている
この状態では、社会で何かに挑戦することは難しく、
ちょっとした刺激でも心が折れてしまいます。
不登校は「最後に残された命を守る手段」
多くの子は、
「このままだと自分が壊れてしまう」
「もう頑張れない」
という瀬戸際に追い詰められた結果、不登校になります。
つまり不登校とは、
“死なないために選んだ最後の手段”とも言えるのです。
この状態なのに、
「とりあえず学校に戻そう」と急ぐとどうなるか。
心と身体がついていかず、
さらにボロボロになってしまいます。
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連絡できない
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ドタキャンしてしまう
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ちょっとした言葉で崩れる
これは「常識がない」からではなく、
心の安全が確保されていないから起きる自然な反応なのです。

回復の第一歩は「不登校をしっかりやり切ること」
誤解されがちですが、
不登校期間は「空白」ではありません。
むしろ、
自分を取り戻すために必要な回復の時間です。
もちろん、復学が力になる子もいます。
ただ、現場の感覚としては、
「無理に戻さないほうが良い」ケースの方が多いのです。
だからこそ私は、
家庭の中でどう関わり、どう心の力を育てるか
というサポートをカウンセリングで大切にしています。
回復した子が必ず口にする言葉
実際に心の回復を終えた子は、こう伝えてくれます。
「あの時、お父さん・お母さんが自分を守ってくれたから
自分らしい生き方ができました。ありがとう。」
この言葉が、
支援の仕事を続ける私の大きな原動力になっています。

まとめ
不登校の子に必要なのは、
「常識」でも「社会性」でもありません。
まず“心の安全”と“自分を取り戻す力”が育つこと。
ここが整えば、
社会性・勉強・将来への意欲は自然と戻っていきます。
焦らず、急がず、今のお子さんの“心の回復”を一緒に整えていきましょう。



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