いつも読んでいただいてありがとうございます。不登校解決カウンセラーの田中勝悟です。
質問者中学3年生の子どもが、進路の話どころか普通の会話すらまったくできません。どうしたらいいか分からず、途方に暮れています。
田中そのお気持ち、よく分かります。実は進路の話ができないのには理由があり、そこには大事な「順番」が関係しています。今日は、その理由と、今からでも間に合う進め方についてお話しします。
結論からお伝えすると、進路の話ができないのは、お子さんの意思が弱いからでも、親の関わり方が間違っているからでもありません。進路の話をするための土台となる3つのステップが、まだ整っていないだけです。
以下で順番にお話ししていきます。
私は公認心理師・臨床心理士として、これまでのべ8,000件以上、不登校のご家庭のカウンセリングをしてきました。その経験も踏まえながら、今回のテーマについてお話ししていきます。
動画でもおはないしています
「子どもの意思を尊重したのに」うまくいかなかったケース
私のところには中学3年生になっても進路の話が全くできないと言う相談がよく来ます。
それも、進路の話どころか、普通の会話すらできずに、ご両親が途方に暮れているケースが少なくありません。
こんなご相談もあります。
本人が「この高校がいい」と言うので、子どもの意思を尊重して進学した。
ところが入学式に行ったきり、次の日から学校に行かなくなり、3ヶ月経って留年が決定してしまった。
今はずっと家でゲームをして過ごしている。
「どこで間違えてしまったのだろうか」と、ご両親が悩まれる。
こうした相談も、最近は増えてきました。
こうしたケースに共通しているのは、子どもと進路について、十分に深い対話ができていなかった可能性がある、ということです。
もちろん、子どもの意思を尊重すること自体はとても大切です。
ただ、それだけで進路の話をする準備が整うわけではありません。
でも、安心してください。
今からでも十分間に合いますし、お子さんが自分の人生を取り戻していくことは可能です。
進路の話ができるための必要条件とは
進路の話ができるようになるための必要条件、それは「お子さん自身が、進路を考える力を十分に備えているかどうか」です。
学校に通っている子は、先生や周りの様子を見ながら「あの高校に行けばいいかな」と自然に考えることができます。
ですが、不登校のお子さんの多くは、同じように進路を考えていくことがなかなかできません。
なぜなら、学校という枠の中で過ごすこと自体に、大きなストレスを感じているからです。
これが不登校の大きな原因のひとつです。
そうした中で過ごすうちに、エネルギーはどんどん下がっていきます。
不登校になった時点で、すでにエネルギーが枯渇していて、メンタルがボロボロになっているというケースも少なくありません。
ボロボロのメンタルのままでは、将来や進路のことを考える余力など持てるはずがありません。
まずはこのメンタルを回復させていくことが、なにより大事になってきます。
ゲームに没頭している子どもの本当の気持ち
その際にご両親にお願いしたいのは、お子さんの今の状態を、しっかりと理解することです。
例えば、ゲームに没頭していて親子の会話がない、というケースでよく考えられるのは、まだ進路を考えるだけの土台ができていないという可能性です。
不登校のお子さんがゲームをするのは、ゲームが楽しいからだけではありません。
毎日が苦しくて、何もしていないと壊れそうだから、ゲームに没頭するしかない、というのが本当の理由であることが多いのです。
また、ゲームをクッションのように使いながら、自分と向き合っている子もいます。
色々と考えてはいるけれど、考えすぎると壊れてしまう。
だからゲームを間に挟んで、なんとか将来のことをぐるぐる考えている、というケースもあります。
もしお子さんがそうした状態であれば、まずはメンタルの回復を優先することが大切です。
逆に、ゲームを取り上げて無理に進路のことを考えさせようとすると、お子さんの心はかえって壊れていきます。
「やり切った不登校」が力になった実例
実際に、中学校3年間ずっとゲームしかしていなかった子が、中学3年生になって急に「高校に行きたい」と言い出し、そこから猛勉強をして高校に進学した、というケースがありました。
この子は高校では別人のように生き生きと過ごし、海外留学までするようになりました。
多くの人は「高校に合格したことが成功体験になったから頑張れるようになった」と考えます。
ですが、これは実は違います。
この子は、中学校3年間、不登校を自分なりにやり切ったからこそ、自分の生き方を見つめ直し、自分らしさを取り戻すことができたのです。
学校でボロボロになった心を回復させたからこそ、高校合格を機にさらに頑張れた。
そういうプロセスがあったのだと思います。
不登校をやり切るということが、実はとても大切です。
やり切れないまま終わってしまうと、その後、社会の中で潰れてしまうお子さんも少なくありません。
進路の話ができるようになるまでの3つのステップ
私のカウンセリングでは、親子が笑顔で不登校を乗り越えていくことを大切にしています。
子どものメンタルが回復し、親子がしっかりと向き合いながら不登校を乗り越えていくプロセスの中で、子どもは自分を取り戻し、自分で考えて前を向いて歩けるようになっていきます。
ここには、3つのステップがあると私は考えています。
1つ目は、子どものメンタルが回復していくこと。
2つ目は、自分と向き合うこと。
メンタルが回復しないと、自分と向き合うことはなかなかできません。
そして自分と向き合っていく中で、子どもなりに、自分がどういう道に進んでいきたいのかを一生懸命考えていきます。
その結果として3つ目、自分なりの生き方が見つかっていく。これが3つのステップです。
実は、進路の話ができるのは、この3つのステップを経たあとなのです。
これができていない状態で進路の話をしようとすると、たいてい親子関係が悪くなったり、子どものメンタルがさらにボロボロになってしまうということが少なくありません。
実際に、10年近く引きこもっていたお子さんが、この3つのステップに沿った支援を受けた結果、だんだんと自分なりの生き方を見つめられるようになり、そこから就労を始めるようになった・・・というケースもありました。
私のカウンセリングでも、この3つのステップをしっかりとクリアしたお子さんは、通信制や定時制を選びながら自分らしい生き方を見つめ直し、高卒認定試験を取ったり、通信制で頑張ったりしています。
これは、決して遅すぎるということはありません。
いつ始めても大丈夫です。
まとめ
今からでも十分間に合います。
まずはお子さんのメンタルの回復度を理解し、この3つのステップを邪魔しないことを大切にしていただければと思います。



コメント
COMMENT