不登校専門心理カウンセラーの田中勝悟です。
今回は親の心構えについてお話をしたいと思います。
子どもが学校に行けなくなって本当に毎日が辛い。
何もしなくても急に涙が出てしまうようになったわ。
誰にも相談なんかできないわ。
親に言うと「お前の育て方が悪い」なんて言われるし。
そうなの。それが本当につらくて・・・
私のカウンセリングでもお子さんの不登校で苦しんでいるお母さんは大変多いです。
中には、心療内科に通っているお母さんもおられます。
また、カウンセリングでは「辛い」「苦しい」とずっと泣き続けているお母さんもおられました。
不登校というのはお母さんにとっては晴天の霹靂のような出来事です。
昨日まで普通に学校に行っていたお子さんが、ある日急に学校に行けなくなります。
この時の衝撃は相当のものです。
「これからこの子はどうなるんだろう?」
学校に行けないわが子を見るたびに、そうした不安な気持ちを抱え込んでしまいます。
将来も見えなくなってしまい、どんどん鬱っぽくなってしまうのです。
お母さんが苦しくなってしまう理由
お母さんが苦しくなってしまう理由ですが、本当にいろいろです。
この辺りについてはお母さんの生まれつき性格によって様々です。
- 周りのお母さんからどう見られているか不安になる
- 子どもが苦しいのを見て、胸が締め付けられる
- レールからはじかれてしまったようで不安になる
- ものすごく疎外感を感じてしまっている
- 一人で抱えるしかないのではないかと不安になる
- 地域からの目がすごく気になってしまう
- 自分の時間が減って苦しい・・・
いろいろあります。
この辺りについては、お母さん自身の性格によって対処法もたくさんあります。
なので、本当に苦しい場合は、
ぜひカウンセリングを受けて自己理解をしてください。
「あ、だから自分はこれが苦しいんだ」と言うことが見えてくるようになります。
そうなると、自分自身、対処法がわかるので、
だいぶ気持ちが楽になってきますよ。
親のメンタルが崩れたときの心構え5つ
では、ここで親のメンタルが崩れてしまって、
涙が出たり、イライラしそうになった時に、
それを乗り越えるための心構えを5つ紹介します。
1.不登校と親の子育ては関係ないと割り切る
2.子どものことをちゃんと理解しようと試みる
3.子どもの人生は子どもの選択と考える
4.子どもとの雑談を心がける
5.子どもの相談に耳を傾けていく
それぞれ説明していきますね。
1.不登校と親の子育ては関係ないと割り切る
お母さん方の話を聴いていると、
よく出てくるのが「私の子育てが悪かったから不登校になった」というものです。
でも、不登校と親の子育てにはあまり因果関係はありません。
もちろん、親が先回りしすぎてしまっていて、
子どもに「生きる力」がついていなかったとしたら話は別です。
でも、不登校の原因は「学校に合わないから」たったこれだけです。
その背景として、
子どもの持っている繊細さや感受性、個性と知った才能があるだけです。
後は、学校という場で自分を活かしきる力の不足というのもあります。
でも、これは親の子育てとは関係なく起こりうるものです。
なので、まずは「不登校と子育ては関係なかった」と思うことが大切です。
大事なのは、不登校になってからどのようにして子どもを育てていくか。
過去よりもこれからのことを考えましょう。
それだけで不登校の大半は改善していきますよ。
2.子どものことをちゃんと理解しようと試みる
「不登校」と「親の子育て」とを割り切ることが出れば、
次は正しく子どもを理解していくことです。
子どもには学校への合わなさを持っています。
もしかすると、発達障害や知的障害なんかがあって、
そのために学校への行きづらさを感じている場合があります。
その場合は、別の方法があるので、そちらを試してみると良いかもしれません。
大切なのは「ぜ私の子どもは学校への合わなさを感じたのか」という視点です。
多くの不登校の子は学校という枠の中に放り込まれると
「自分が崩れていく」と感じます。
そこには学校で伸びることが決してなかった個性や感性があるのです。
そこをまずは発見していきましょう。
「あ、うちの子、こんなに素晴らしいところがあったんだ」
そう気づくこともあります。
そうなると、子どものことを安心してみることができるようになります。
ちなみに、私のカウンセリングでは大体1か月くらいで、
お母さんがこの境地に至ることが多いです。
すると、ずっと泣いていたお母さんも笑顔になります。
正しく理解することが、実はお母さん自身も救われるということです。
3.子どもの人生は子どもの選択と考える
ここからは関わり方の心構えについてです。
子どもの人生は、親がコントロールすることはできません。
例えば、通信高校やフリースクールなど、
多くの方法がありますが、それを親が全部用意しても
子どもがそのまま進むことはほとんどないです。
親自身が「こうすれば子どもは学校に行くだろう」
「こうすればこの方向に進むだろう」と思っていると、
確実に子どもは反発します。
不登校のお子さんは感受性が高すぎるために、
そうした親の背景にある思いを敏感に察知してしまうのです。
だからこそ、
「子どもの人生は子どもが選択するもの」という
子育ての基本に沿って考えて行くことが大切です。
人は「これは自分の人生にとって必要だ」と
思ったものを選択する生き物です。
そして、不登校のお子さんは
「自分に合ったもの」「自分に合わないもの」を
敏感に見極める才能があります。
なので、そうした子どもの才能を信じて、
「子どもが選ぶんだ」と思うことが大事なのです。
そうなると、
「親の人生は親が選ぶ」
「子どもの人生は子どもが選ぶ」と
自他分離できるようになります。
それができれば、
自ずと子どもとの距離が自然ととれるようになり、
適切な親子関係が取れるようになります。
この距離感が本当に大事で、
子ども自身が自分で考えていく余裕が生まれてくるようになるのです。
あ、ここで大事なことをお伝えしておきますが、
決して「親は何も言ってはいけない」というわけではないですよ。
子どもが考えやすいように情報提供をしていくことは必要です。
ただし、その情報を選ぶかどうかは子ども自身の選択だというだけです。
とはいっても、
子ども自身が自分の気持や思いを整理するのには時間がかかります。
その場合は、少しゆっくりと待つということが大切です。
一番いいのは、子どもと一緒に雑談をしていくこと、
リラックスして楽しい時間を過ごすことが大事だということです。
これを選択理論心理学の世界では
「クオリティ・タイム」と呼びます。
クオリティ・タイムとは、
子どもも親も楽しく過ごせる時間を過ごすということです。
ちなみに、問題解決に必要なものって何かご存じですか?
それは良い人間関係です。
良い人間関係ができると、
子ども自身が自分のことを適切に振り返り、向き合うようになります。
しかし、人間関係が悪化していると、
子どもは人間関係を回避したり抵抗するのに
多くのエネルギーを費やしてしまい、
自分に向き合うことができなくなります。
実は家に引きこもっている人の多くが
「家で全く気持ちが休まらない」と考えているのです。
そこを脱却し、親子関係が楽しいと思えるような時間を持つこと。
これも実は大事なことなのです。
親子関係が良くなってくると、
子どもの方から親に相談するようになっていきます。
この相談が、進路や将来になってくると、
不登校解決まであと一歩の状態です。
ただし、子どもから相談した場合、
としてアドバイスや助言をしたくなるのですが、
そうすると子どもはまた自分の殻に閉じこもってしまいます。
理由は簡単で、子ども自身が跳ね返す力がない場合、
親の意見につぶされてしまうのを恐れるからです。
なので、まずは
「耳を傾けていく」
「子どもの思いをしっかりと聴いていく」
ということを意識することが大切です。
親にできるのは情報提供のみです。
後は子どもが選ぶしかありません。
選んだことに対して、
子どもが「親にも手伝ってほしい」と言ったときに、
親はサポートしていくという順番が原則的には大切です。
親の人生と子どもの人生を分けて、
子どもが進めるようにサポートすることが
親の役目なんだという心構えが実は大切なのです。
まとめと注意点
今回のまとめです。
子どもの不登校で泣いているお母さん、
イライラが止まらないお母さん、
落ち込んだり不安定に何っているお母さん
はぜひ下記を参考に実践してみてください。
ちなみに注意点ですが、
3~5は「子どもを正しく理解する」
ということができないと、効果は薄いです。
ただし、上記の段階を経てお子さんの不登校が改善することは多々あります。
そのため、当カウンセリングルームでは
「子どもの理解」に重点を置いているのです。
実はお子さんの不登校改善に向けて歩みだすのが、
親のメンタルを改善する一番の心構えであると考えています。
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